お久しぶりです。劇団グラハムヘルツただ一人の団員であり、主宰、どうも、伊藤です。
少し日が空いての更新です。皆さまお元気でしたか?
今日は演劇や映画の話、告知や告知や告知から離れて
何度も何度も心が震える動画をご紹介したいと思います。
TEDトークってご存じですか?
TEDは、毎年大規模な世界的講演会「TED Conference」(テド・カンファレンス)を開催している非営利団体で、TEDトークは無料動画配信プロジェクト。TEDトークを通して、世界中のあらゆる分野(学術・エンターテインメント・デザインなど)で活躍する人たちのプレゼンテーションを観ることができるというわけです。
YOUTUBEにもある動画でぜひ多くの人に見てほしいプレゼンテーションがあります。
プレゼンターは植松努さん。
彼は北海道の株式会社植松電機を経営している実業家です。
『思うは招く』をテーマにご自身の体験を交えながら朗らかで優しく、そして力強く私たちの背中を押してくれるようなプレゼンテーションをされています。20分ほどの動画ですが、時間を無理して作ってでも、睡眠時間を削ってでも観てほしい動画です。
ちなみに私は初めて観た後に嗚咽し、とてつもない感動の波にすべての睡眠欲をさらわれてしまったので20分+アルファぐらいの時間がある時にみることをお勧めします。
最近、上手いプレゼンテーションってなんだろうなと思うのです。
堂々としていて雄弁なジェスチャーやアイコンタクトがとれていたり、迫力や説得力に満ちた話し方、
違和感を持たせずにするすると話に引き込むカリスマ性を併せ持ったプレゼンターの姿。私もそういう人を観ると「すごいなぁ!」と感嘆し、彼らのようなプレゼンターに少しでも近づけるようにあらゆるノウハウ本が世の中には沢山あります。
でも私はこの植松さんのプレゼンテーションを観て、一番大事なことはそういうところじゃないんだよな、と強く思ったんです。
植松さんはほとんどジェスチャーはしません。歩き回らず、大きなステージにこじんまりと佇み、
最初は照れくさそうに少しだけ笑って、自分を大きく見せようとはせず肩ひじ張らない口調で喋りだすのです。
その姿はプレゼンターというより、優しいストーリーテラーのように感じました。
植松さんは『思うは招く』ということについて、ご自身の体験を踏まえながら説明します。
難しい言葉を一切使わず、誰が聞いてもわかりやすいように。
植松さんの言葉には、嘘がないなぁと感じていました。
あれだけの大舞台で流れるようにお話されているので、練習を重ねてこられたことは事実だと思うですが、まるで今言葉を紡いでいるかのようにお話しされます。
途中、声がつまる場面がありました。
その場面で私も鼻の奥がツンと痛み、涙が出ました。
植松さんがどれほどの思いでいたのかが私の心にも伝わってくるからです。
プレゼンテーションとはいうものの、一番大事なのは結局”心”なんだと感じました。
よく「心を込めて」、と言いますけど私はこれは相手に対してしっかりと向き合いコミュニケーションをとることだと思っています。
マニュアル言葉やマニュアル対応に溢れている世の中で、「心を込めた」対応が素晴らしいとされるのは、それだけ今コミュニケーションを大事にせず、もしくはコミュニケーションをとらない、とれないという人が大勢いてそれがマジョリティだからではないかと思うのです。
何度も何度も練習すると言葉は定型化しがちですが、植松さんは”心を込めて”、目の前にいる聴衆に語りかけるように話してくれるのです。あの場にいる、そして画面を観ている時空を超えた私たちともコミュニケーションをとろうとしてくれているのを感じました。
「思うは招く」ということがどういうことがなのか。
「どーせ無理」という言葉がどれほど恐ろしい言葉なのか。
これらを”伝えたい”という本気の気持ちが、植松さんの言葉からは溢れているのです。
植松さんの言葉はとても生きていて、私は本当に本当に感動しました。
今でも私は、卑屈になりそうなときはこの動画を観て、
そして何度も心を打たれて、
おいおいと泣いて、
志を新たにするのです。
2021年、皆さんにとってどういう1年でしたでしょうか。
どうか今年の締めくくりに、植松さんのプレゼンテーション未見の方は
20分+アルファの時間を作って観てみてほしいです。
2022年のテーマを『思うは招く』にしませんか。