2020年6月。
世間では緊急事態宣言解除や、県を跨いだ移動が可能になり、時同じくして
この劇団グラハムヘルツは発足しました。
はじめまして。主宰の伊藤瑞貴です。
日頃は割とインドア、それこそお芝居の稽古以外はなるべく家に居たい。「そとにはきけんがいっぱい。」日頃からそう思っていた、なんだかグダグダしている人間です。
今回の異常事態の期間、たくさんのことに翻弄されました。
未知の敵と戦い、己の心と戦い、孤独に心を鷲掴みにされ、毎日変わり映えしない風景と、悲しい言葉と怒りが飛び交い心を痛めては、多くの人たちがあらゆるものを失っていきました。
私は先の見えない社会の未来に、自分自身の姿を見つけることができませんでした。
夢や目標など、そんな大層なものはいらない。せめて何か、せめて心から何か楽しいと思えるもの…。深夜久々の湯船に浸かりながら、そろそろ本当にふやけてしまうぞ…となった時、頭に浮かんだのはやはり演劇のことでした。
長年、私を支えてくれたエンターテイメント。
これまでいくつかの劇団で活動してきました。本当に大好きな人達と大好きな時間を共有する素晴らしい時間だった。「大好きだった場所で大好きなことができないからって、そのもの自体を辞める必要はないじゃないの。」のぼせた頭から誰ともわからない声がそっと私を慰めてくれたような気がします。
お部屋のサイズに合わせて、私の脳みそも6畳ぐらいに囲われて、出口を失ってしまっていました。
「そういえば、好きだけどまだできてない作品あったなぁ。」
そして気がつけば、自分で発足していた、というわけになります。
まだまだ、状況は回復というわけでもありませんし、まだまだたくさんの制限がありますが、少しでも人生を豊かにする何かを探していきたい。
悲観にマケズ、菌にもマケズ、こんなときだからこそエンターテイメントの底力を信じて、自分がおもしろいと感じたことや楽しいと思うものを少しでも誰かと共有できたら心から嬉しいと思っています。
伊藤